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公演ギャラリー


超訳鏡花 「婦系図」

  • 日程:2012年3月9日
  • 会場:浅草リトルシアター   photo/金井恵蓮
  • 泉鏡花は耽美な物語の天才ですが、
  • ハードボイルド作家でもあります。
  • 言葉で明治時代の女性解放を訴え続けたフェミニストでもあります。
 美しくて色っぽい話ですが、
 読むときの暗号がいくつかあるようで、
言葉の中に「花」が出てくるとプラトニック・ラブ
「蔦やつる草」が出てくると離れられなくなる二人
「蛇、斑の犬」などケダモノが出てくると
 やがて泥沼


「婦系図」おんなけいず、と読みます。
普通に考えると
家系図からきた言葉ですが
鏡花の言葉は暗号が多いですから、
「シンジケート」のダジャレ
 って思うんですが考えすぎかなあ。
シンジケートsyndicate 
 労働組合、企業連合、
 犯罪組織、反社会的組織

主人公の名前、早瀬「主税(ちから)」
という言葉は
元は律令時代(奈良時代くらい)の役所で、
「強く確かな安心の機関」ってことですが
赤穂浪士47人中最年少
大石主税から持ってきてるのではないかな
と思います
仇打ちして切腹して死後、
「お墓参りすると良縁に恵まれる」
と、女子にモテモテだったそうです

 前半の、新派の劇による「お蔦の物語」
 なかでも「湯島の白梅」の場面が有名です。
 
早瀬「お蔦、俺と別れてくれ」
 「冗談じゃなさそう。本気なのね」
早瀬「あやまるよ」
 「切れる別れるって、芸者のときに言うものよ。
   死ねって言ってよ。蔦には枯れろって」
早瀬「飽きたんじゃない」
 「飽かれてたまるか」

 後半、いきなりハードボイルドになって
 びっくりします。
 お蔦のための復讐劇みたいに
いろんな女の人を救うギャルゲーみたいになります。
早瀬
「おい俺を、まあ何だと思う、
 浅草田圃に巣を持って
 観音様へ羽伸ばす
 ハヤブサの力とあだ名された
 スリだよ、巾着切りだよ」


 この人が酒井教授の弟子となり
 ドイツ語学士となり
 参謀本部の翻訳官となり
 お蔦の夫となり全女性の正義の味方となる
 すごいハードボイルド小説です。
 日蝕は日の煩いとて、その陰には毒あり、
 光には魔あり、熱には病あり

暗くなった海に向けて蝕ある鋭き日の光。
一声高らかに雉が鳴くと山は暗くなった。
英臣はやにわに隠しからピストルを出し
早瀬の胸を狙った。
道子と菅子が背中より胸より主税を庇った。
英臣は溜息し大夫人を撃った。
硝煙の煙とともに蝕する日の面を傲岸なる統領は自ら
その脳を貫いた。
姉妹の美人は身を逆様に崖に投じた。
蔦に葛に留まった色ある名残は滅びたる世の海の底。


(前半すごい和のティストで、ラスト
 すごいかっこいい舶来風アクション活劇です)
           泉鏡花 明治40年


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