超訳 長谷川伸「瞼の母」
- 日程:2013年9月13日
- 会場:浅草リトルシアター photo/金井恵蓮
- 長谷川伸作品は、もともとわかりやすいので、
- 「いつもの超訳」ともいえません。私がやるとこうなります、
- という意味です。
長谷川伸は、横浜市日ノ出町出身。
「股旅もの」を発明した。
3歳の時、母が家を出る。
家が没落して小学校中退。
港に落ちてる新聞で字を覚え
独学で記者となり劇作家となった。
晩年に、母と再会した。
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この劇が、あまりにも極端な マザコンのやくざ、 という風なのは、 自伝的なところありきなのでしょう。 |
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5つで母と生き別れ 12で父と死に別れ やくざに拾われ博徒になったが 母の面影わすれられず ずうっとお母さんを探し続ける 「番場の忠太郎」の物語です。 親兄弟のいる弟分には カタギになるのをすすめ 町で年寄りいじめを見かけたら 悪者をやっつけながら 江戸にいるという噂を頼りに 旅をして母を訪ねます。 |
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ようやく会えた母は 大きな料理屋のおかみさんで 嫁入り前の娘(父親違いの妹) の世話に夢中です。 博打打ちの息子を迎えたら 店はどうなる、娘の縁談にもかかわる、 セリフにはないけど 母は短い会話の中で ものすごく悩むんですよ。 |
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忠太郎 「ところは江州坂田の郡(こおり)、 醒ヶ井(さめがい)から南へ一里、 磨針峠(すりはりとうげ) の山の宿場で番場というところの おきなが屋忠兵衛という 六代続いた旅籠屋をご存知ですか」 |
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長谷川伸の劇のセリフは、ほとんど 「5-7-5」でできています。 役者がしゃべりやすくて 観客が聞きやすい 講談、落語、演歌の作詞法です。 これぞ我が国の 「シェイクスピアの原文の美しさ」 に匹敵する言葉のリズムですね! |
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おはま 「忠太郎さん、親を尋ねるならなぜ カタギになっていないんだ」 忠太郎 「おかみさん、そのお指図は辞退すらぁ 親にはぐれた小僧っ子が、 ぐれたを叱るは少し無理。 身の置き所は60余州の どこといって決まりのねぇ 空の下を飛んで歩く 旅にんに逆戻り」 |
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長谷川伸はラストシーンをどうすべきか 母親のもとに戻って和解しておわるか? ものすごく考えたようです。 忠太郎「お前、親は」 金五郎「あるもんか」 忠太郎「子は」 金五郎「ねえ」 忠太郎(すばやく斬り倒す) 船頭歌「降ろが照ろうが風吹くままよ、 東行こうと西行こと」 ー幕ー 長谷川伸(1930年) |