超訳近松「女殺油地獄」
- 日程:2014年9月26日
- 会場:浅草リトルシアター photo/金井恵蓮
- 「近松門左衛門はシェイクスピアに似ている。」
- という明治時代の坪内逍遥の論文がありまして、
- だったら全作は無理でしょうけど、(人形浄瑠璃のシナリオですし)
- やれるところをやってみよう!
- というチャレンジ精神によります「超訳近松」です。
昔の町人の不良のお話です。
武家の血をひくおかあさんがパパの死後、
店の番頭さんと再婚しちゃって、
ママの気ひくために悩んで
中2病になってぐれちゃった、
ってのは、ハムレットっぽいですね。
次男の事情は不満だらけってところも
シェイクスピアぽいです。
(シェイクスピアだと三男の事情)
近松門左衛門は武家の次男で、
刀を捨てて戯作者になったとのことです。
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般若心経。空海の真言宗。悟りの知恵。
掲諦掲諦、掲諦、波羅掲諦、波羅僧掲諦
(いい感じに彼岸に渡せます)
唵呼魯呼魯、
(薬師如来に祈る真言の句。
これを唱えれば守ってもらえます。この、おんころころというのが全体のアクションになってて、
主人公はころころころがりっぱなしです)
旋茶利摩登枳、(遊女に転がって)
唵阿毘羅吽欠(地、火、水、風、空からも
ころがって?) |
近松は庶民の仏教信仰を中心にしたお話です。
女の人は観音です。
ここがシェイクスピアと大きく違います。
シェイクスピアの女性はたいてい恐いんですが、
近松の女性はやさしいです。
お吉
「この銭一文も仇にはなるまい。
肌身につけて一稼ぎ、お二人の葬礼に。
立派な乗物に乗せうと気がなければ
男でも杭でもない」
(この親からのお金、無駄にせず、
両親に立派な葬式だしてやれなきゃ
オトコじゃないよ)
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与兵衛
「おお、死にともないはず、
もっとももっとも、
こなたの娘がかわいいほど、
おれもおれをかわいがるオヤジがいとしい。
あきらめて、死んでくだされ。
口で申せば人が聞く、
心でお陀仏、南無阿弥陀仏」 |
仏教画の「地獄絵」とは現生を描いていて、
生きているときは地獄だけど
死んだら極楽往生だから、
真面目に生きなさいね!ということだと思います。
ハムレットは自殺者は地獄行きだからと
アレコレ悩むんですが
近松の主人公は生き急いで極楽をめざします。
ちょっと考え方にズレがあるけど
スピード展開が似ています。 |
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犯罪者の話、全体が詩、ってとこも似てますね
で、このお話の一番似てるのは、
親子の話ってところです。
5月5日、男の子の節句に
親の期待を裏切って
河内屋与兵衛は豊島屋お吉を殺した。
作者近松門左衛門69歳。上演享保6年(1721)
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